理事長所信

一般社団法人八女青年会議所
2023年度理事長所信
第64代理事長  井上 元太 

【はじめに】

 今世界は過去に経験したことが無い多くの問題に直面し、先が見えない混沌とした時代に私たちは生きています。2020年に全世界に感染が拡大し未だ私たちの生活に大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症の問題、2022年に突如勃発したロシアによるウクライナ侵攻に端を発した全世界を巻き込んだ民主主義国家と権威主義国家の対立による緊張の高まり、経済制裁や物流の停滞に伴う世界的な経済の減速・インフレの進行、気候変動に起因した異常気象や自然災害の多発化など問題は多岐にわたり、世界は大きな転換期を迎えています。私たちが住み暮らす八女地域も同様に多くの問題を抱えており、時代のニーズに適応し魅力ある地域として進化することを求められています。地域のより良い未来を実現するために、現状の課題と向き合い検証し、変えるべきところは大胆に変え新たな魅力を備えたまちとして進化を遂げなければ衰退の一途を辿ることは明らかです。地域の進化を実現するためには、地域を牽引する立場にある私たち青年それぞれが意識を変革し、まずはリーダーとして進化を遂げなければ地域の進化には結びつきません。人々の笑顔が溢れ希望に満ちたまちとなるために、メンバーそれぞれが成長し、勇気を持って一歩を踏み出すことで地域を新たなステージへと導きます。

【八女地域の明るい未来のために】

 私たちが住み暮らす八女地域は広大な面積を有し、全国ブランドの農作物や伝統工芸、林業などの産業が盛んで、地域の歴史や文化を背景に観光にも力を入れており多くの魅力を備えた地域です。一方で少子高齢化、都市部への流出に伴う人口の減少は深刻な問題となっており、2055年には八女市の人口は現在の半数以下に減少すると予想されています。地域を支える私たち青年が現状に危機感を持ち、地域の明るい未来のために多くのアイディアを結集し、即座に行動に移すことが必要です。地域を活性化させるためには、まずはその地域に住み暮らす人々が地域のことを知り、地域に誇りや愛着を持ち、一人ひとりがまちづくりに参画する意識を醸成する必要があります。また、量的な豊かさではなく質的な豊かさを追求することが大切であり、地域の魅力や特性を活かしながらまちづくりに取り組むことで人々の幸福度が高いまちを実現することが重要です。八女地域の魅力である豊かな歴史や文化、農業を始めとした特産品、広大な面積を有し大分県、熊本県とも隣接した立地条件等を活かしながら、多くのアイディアを結集し新たな取り組みを実践することで地域の魅力は増し、幸福度の向上、人々の定住化につながっていきます。さらに、私たちと同様に八女地域の明るい未来を願う行政や各団体とも活発に意見を交換しアイディアを共有することで、同じ方向性に向かってまちづくりに取り組む環境を醸成します。 私たちJCが地域の人々の意識を変革するきっかけを与え、地域の新たな魅力を引き出すことで八女地域は人々の笑顔が溢れるまちへと進化し、明るい未来を実現します。

【次世代を担う子供たちのために】

 子供たちは地域の将来を担う存在であり、地域のことを想い地域をより良い方向に導く行動力を備えた次世代のリーダーを育成するために、学校だけではなく市民や各団体も積極的に青少年教育に取り組むことが必要です。また、子供たちを取り巻く環境は大きく変化しており、共働き世帯の増加や核家族化に伴い家庭での教育の機会が減少し、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響やデジタルの普及に伴い対面での交流の機会も減少しています。その結果、思いやりの気持ちが乏しい子供やコミュニケーションを不得意とする子供、覇気が無く将来に希望を抱けない子供が増えているように感じます。私たちJCは学校や家庭だけでは行き届かない子供たちの心の教育に取り組むことが求められています。  まずは、思いやりの気持ちを持ち他人のため、地域のために行動できる人財を育成するために、人の役に立つことの素晴らしさを経験し利他の精神を養うことが重要です。また、子供たちが将来影響力のある人財となるためには、自分一人で行動するのではなく、周囲を巻き込み協力しながら目標に向かって共に取り組む意識を醸成する必要があります。子供たちに周りとコミュニケーションを取りながら同じ方向に向かって努力することで大きな成果につながることを実感してもらい、共に目標を達成することの素晴らしさを伝えていきます。そして、そのような経験を通して将来に夢や希望を持ち、それを実現するための行動力や自主性を養うことにつなげます。多くの問題を抱え混沌とした現代においても子供たちは地域の希望であり、子供たちが目を輝かせながら夢や希望を語り自ら率先して行動するように導くことで子供たちを将来のリーダーへと進化させます。

【多様性に満ちた輝く地域を実現するために】

 現代社会においては交通手段やIT技術の発達等により国境を越えて人やモノ、情報が活発に動いており、全世界が結びつきを強め、経済的、文化的に他国の影響を受けやすい状況となっています。我が国においても1993年に外国人の技能実習制度が導入されて以降、多くの外国人実習生が流入し、共に働く光景をよく目にするようになりました。人口の減少に歯止めをかけることが難しい中で、今後もより一層外国人の労働力は重要性を増し、お互いの文化を尊重しながら共存していくことが求められます。また、アメリカのGAFAをはじめとした大手IT企業の成長は著しく、我が国も海外の最先端の技術を学び、取り入れながら発展していくことが不可欠な時代となっています。私たちの日常においてはまだまだ外国人と触れ合う機会が少なく、誤解や無知を要因とした外国人に対する差別や偏見が見受けられ、交流に消極的な人も多いように感じます。若い世代が外国人と交流する機会を増やし、お互いの文化に理解を深めることができれば差別や偏見は無くなり、お互いに支え合いながら共存していく道が開かれます。また、他国の文化に触れ理解を深めることで、日本の良さや改善すべき点について認識し、日本人としてのアイデンティティーを確立することにつながります。さらに、少子高齢化や産業の衰退など多くの問題を抱える我が国において、海外の最先端の技術や参考にすべき文化を取り入れることは非常に重要であり、若い世代が海外の技術や文化に触れ関心を持つことで、海外から学びたいという意欲を高めることが必要です。国際化社会への対応は今取り組むべき重要な課題であり、それぞれの文化を理解し共存する道を開き、他国の技術や文化を柔軟に取り入れることで地域は輝きを増し、明るい未来へとつながります。

【地域のリーダーとして成長するために】

 地域の未来を明るい豊かなものとするためには、地域を牽引すべき立場にある私たち青年それぞれが高い意識のもと自己研鑽を積み、行動力と実行力を備えたリーダーに成長しなければなりません。JCは「青年が社会により良い変化をもたらすための発展と成長の機会を提供する」ことをMissionとしており、メンバーの成長につながる機会を数多く提供し、個人の成長に焦点を当て取り組んでいくことが重要です。私たちは青年経済人としてまずは地域の経済を牽引することを求められており、JC活動を通して仕事にも活かすことができる様々なスキルを習得できる機会をメンバーに提供し、自身が所属する各事業所を発展させ、経済の面で地域に貢献しなければなりません。また、JCは「奉仕・修練・友情」を三信条としておりJC活動を通して、自身のためだけではなく地域や周囲の方々のために行動する奉仕の精神を養い、修練を乗り越えることで大きな困難も克服する精神力や実行力を備え、さらに友情により築かれたネットワークを生かし運動を最大化できるリーダーへと成長できるように導きます。地域を牽引するのは私たちJAYCEEであるという強固な信念のもと、自身の成長に妥協無く取り組むことでJAYCEEが社会により良い変化をもたらすリーダーとして進化を遂げ、地域を明るい未来へと導きます。

【地域から必要とされる組織であるために】

 JCI八女は1959年の創立から64年という長い歴史を持ち、この歴史は先輩諸兄姉が志を途切れさせることなく次の世代へと引き継いできた証です。地域の永続的な明るい豊かな社会を実現するためには、志を同じくする同志を発掘し次の世代へと脈々と想いをつないでいかなればなりません。また、地域から認知され必要とされる組織であるために私たちの運動を効果的に発信し、地域の方々の共感を得ることが重要です。JCI八女の会員数はピーク時には100名を超えていましたが、現在は40名程度とピーク時の半数以下になっており、直近ではなんとか会員数を維持しているものの会員拡大に成功しているとは言えません。また、多様性が求められる時代において私たちの運動をより効果的なものとするために、女性や20代など若い世代の入会に力を入れていく必要があり、具体的な拡大目標を掲げ常に拡大について発信をしていくことでメンバー全員が拡大に取り組む意識を醸成することが重要です。さらに、会員拡大につなげるためにも魅力ある組織として地域から認知されることは大切であり、ホームページやJCニュース等での効果的な情報発信に加え、SNSを有効的に活用しJCI八女のフォロワーを増やすことで認知度を向上させ地域の人々から多くの共感を得ることが重要です。志を同じくする多様な人財が集まることで運動の効果は飛躍的に高まり、私たちの運動に多くの共感を集めることでJCが地域に影響力を持ち未来永劫必要とされる組織へ進化します。

【結びに】

 私たちが住み暮らす地球は46億年前に誕生し、生命は38億年前に海の中で誕生したと言われています。地球の過酷な環境において絶滅する生物もいる中で、生物は多様な進化を遂げ環境に順応したことで現代の繁栄へとつながっています。地域が多くの問題を抱える中で、変化を恐れず社会や人びとからのニーズに適応し劇的な進化を遂げなければ絶滅した生物と同様に地域も近い将来消滅に向かうことが予想されます。 将来に対する漠然とした不安を抱える中でも現状を大きく変えることには誰しもが躊躇し、変化を受け入れることは容易ではありません。私たちが住み暮らす八女地域のこの先末永い明るい未来を実現するためには、私たちJCが地域に問題を提起し、地域が進化するきっかけを与え力強く牽引することが必要です。私たちが生まれ育ち愛する故郷が私たちの子供たちの世代、孫たちの世代、更にはその先の世代まで人々の笑顔が溢れる希望に満ちたまちへと進化を遂げるために、私たちJCが今立ち上り、不退転の覚悟のもと果敢に挑戦し、未来につながる一歩を踏み出さなければなりません。

 さあ、勇気を持って新たなステージへ、共に一歩を踏み出しましょう。