理事長所信

2024年度理事長所信

【はじめに】

今、私たちを取り巻く社会は急速に変化しており、従来から問題視されている少子高齢化や労働力不足、人口の都市集中化、多様性の尊重などの社会課題はより複雑でより深刻化しています。一方で、ICT技術などデジタルの進化はすさまじく、これまでの常識が一瞬にして新しい価値観に変わり、ライフスタイルは劇的な変化を遂げています。私たちが住み暮らす八女地域でも都市部への人口集中や少子高齢化により過疎化が進み、後継者不足や労働力不足による産業の衰退が問題視される一方で、地方行政ではデジタル技術やデータを活用して人々の生活をより良い方向に変化させるために DX 推進計画が策定され、社会とデジタル技術が融合した変革を進めています。

私たち八女青年会議所(以下JCI八女)は明るい豊かな社会の実現のために1959年に設立され、時代とともに変わりゆく社会課題を的確に捉え未来を見据えた運動を常に提案し、本年度で創立65周年という節目の年を迎えます。地域により良い変化をもたらすために先輩諸兄姉が築き上げてこられた歩みや想いを継承し、新しい未来を創るためにこれから5年後、10年後を見据えた運動を展開していく必要があります。私たちは八女地域というまちに住み暮らしていることで既に様々な縁で結ばれています。一つの紐と紐が固く結ばれるように過去と未来、人と人、行政や各種団体が強く結ばれることで、共に明るい豊かな未来を創ります。

 

【共に創る子供たちの夢】

  子供たちを取り巻く環境はライフスタイルとともに変わり、自らの考えを主張するだけでなく考えの違いを認め合う多様性や自ら進んで行動する主体性が尊重されるようになりました。また、連絡手段や防犯意識の高まりにより低年齢から携帯電話を持ち利便性が高まった一方で、ゲームやSNSに夢中になることで家族や友達と過ごす時間が失われ、コミュニケーションの希薄化が懸念されています。そこで、私たちJCI八女が未来を担う子供たちに家庭や学校ではできない体験を通じ、様々な発見や経験を積んでもらう機会を創出し、将来に向かって夢を抱き自ら学び考える力や豊かな心を育てる必要があります。人と向き合うことは、相手の気持ちを大切にしながら自分の気持ちを伝えることができる能力や他人の気持ちを感じ取り共感する能力を育て、新たな体験や同じ目標に向かって切磋琢磨しながら行動することで夢や希望を描ける人財へと成長します。そして、子供たちが描いた夢は努力するための原動力となり、自らの未来を明確に想像することへとつながります。その過程で様々な困難に直面することもありますが、困難を乗り越える度に子供たちはさらに成長を遂げます。成長を遂げた子供たちが大人となり、さらにその子供たちに夢を描くことの大切さを伝えていくことで、永続的に発展し続ける八女地域を創ります。

 

【共に創るグローバルな価値観】

 2020年に全世界で拡大した新型コロナウイルス感染症も収束を迎え、日本国内でも5類感染症に位置づけが変更されました。海外からのインバウンドも増大し、日本経済は活気を取り戻しつつあり、国を超えた交流や大会、フォーラムが実施される機会も増えてきました。自分と異なる価値観や文化的背景、歴史を持つ人々との交流は、これまでの常識に加え相手の価値観を受け入れる必要があります。違う価値観を受け入れることは、新しい価値観が醸成され、これまでなかった角度で物事を捉えることができるとともに新たな成果を生み出すことができます。

これからの国際化社会で八女地域の良さや違いを見出し発信していくためには、相互の歴史や伝統文化についての理解を深め、人権、平和、異文化などを含めたグローバルな価値観を学ぶことが重要です。特に、若いうちに国際的な考えや交流を学ぶことは、これまで積み上げてきた価値観がより一層広がり、自ら進んで交流を持つことで国際的なコミュニケーション能力が培われます。八女地域の課題に関しても、多角的な幅広い考え方を取り入れることで、新たな解決策を見つける糸口となります。世界から見た八女地域の立ち位置や違いを知ることで改めて八女地域の良さを実感し、偏見や差別が無く多様性や主体性が育まれる八女地域を創ります。

 

【共に創る新しい未来】

最先端技術の進化はすさまじく、情報社会に続く新たな社会を指すものとしてSociety5.0を国が目指すべき未来社会の姿として提唱しています。最先端技術を先行的に取り入れたスマートシティでは、社会インフラやエネルギー効率の向上、災害対策の強化、防犯体制の向上、交通渋滞の緩和、生活の質の向上などの効果が期待されています。私たちの生活でもIoT、ビッグデータ、AI、ロボットなどの言葉を聞くことが増え、様々な分野で活用されており、生活の一部として普及しつつあります。そして、行政や教育機関、企業でも様々なICTを活用し、業務省力化や地域の課題解決に向けた取り組みが進められています。

新たな技術を知ることは選択の幅が広がり、5年後、10年後の未来を見据え率先して活用していくことで新しい未来が生まれます。しかし、利便性や効率性の実現を主目的とするのではなく、デジタル技術、データといった先進技術を上手く活用することによって、課題解決と経済発展を両立していかなければなりません。私たちJCI八女が地域と最先端技術により生み出される八女地域の未来像を発信し、行政や教育機関、八女地域に住み暮らす人々とともに未来について考えていくことで地域課題が解消され経済発展が実現できる新しい八女地域を創ります。

 

【共に創る持続可能なまちづくり】

八女地域には全国に誇れる産業や豊かな自然で育った特産物が存在し、私たちJCI八女のメンバーも様々な形で社会に貢献しています。しかし、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や後継者不足など地域社会で取り組むべき課題が数多く存在し、現状のままでは衰退が加速していきます。これから八女地域が継続的に発展していくためには、八女地域の一人ひとりが地域に誇りを持ち、魅力を兼ね備えた住み暮らしたくなる八女地域を目指す必要があります。

八女地域の魅力として仏壇、提灯、石灯籠、手すき和紙などの伝統産業や地域貢献活動に取り組む企業、環境や資源の循環などに配慮した経営を行う企業があります。しかし、存在することは知っているがどのような仕事で、どのような想いを掲げ活動しているのか知らずに就職や進学で都心や県外に定住してしまう人々が多くいます。それは、八女地域の貴重な人財が他の地域に流出し、労働力不足や産業衰退の要因の一つとなっています。地域の魅力を知ることは、若者にとって郷土愛を醸成し将来の仕事について考える機会となり、いつでも帰れる場所として人と地域がつながります。地域の行政、教育機関、企業、各種団体がつながり、ともに未来の担い手に発信していくことで持続可能な八女地域を創ります。

 

【共に創る強固な組織】

 JCI八女は1959年に全国で185番目の青年会議所として設立し、20歳から40歳までという限られた年齢の有志で組織が形成され、先輩諸兄姉から想いを受け継ぎ、継承していきながら歩みを進めてきました。65年続くこの想いを永続的に引き継いでいくために最も重要な活動が会員拡大です。会員数を増やすことでより大きな規模で影響力のある事業が展開できるようになり、様々な年齢や性別、業種の会員が集まることで新しい意見や考え方を取り入れて運動を最大化することができます。そして、メンバーが魅力的な人財へと成長し、周囲の人々へ影響を与えるような団体として地域から共感されることで会員拡大につなげます。また、同じ理念に沿って行動できる仲間とともに、悩みや苦労を乗り越える一生涯のパートナーとして友情を築き、一人ひとりが強い想いを持って自己研鑽に努め成長し続ける強固な組織を創ります。

 

【共に創る強固な連携】

   これまでJCI八女は行政や各種団体と連携し、まちづくり事業や青少年育成事業、国際交流事業など八女地域の明るい豊かな社会の実現に向け運動を展開してきました。今後、八女地域が抱える課題に対し、より的確にスピードを持って運動を展開していくためには、行政との情報交換が必須であり、行政との連携窓口を設けることで意見交換や情報交換を行い、課題解決に向けた運動を展開してくことができます。各種団体に対しても、八女地域が抱える課題解決に向けた運動の情報交換を行い、それぞれが掲げる指針について共有することで、メンバー間のつながりや協力体制を築くことができます。また、八女地域で発生する災害に対しては、効率的、効果的に災害ボランティア活動などの被災者支援活動を行うために、災害時相互協力協定を締結している社会福祉協議会との連携調整の役割を果たし、それぞれが所有する人的、知的、物的資源を共有し相互の関係を強化します。その他にも、協力関係にある団体の事業にも参画し、共に創る未来の八女地域に向けて強固な連携を創ります。

 

【結びに】

  八女地域をより良い未来へ変えていこうと強い志を抱いても一人の力では何も変えることができません。しかし、一人、また一人と同志が集まることで運動の輪は広がっていきます。それは、一石を投じて広がる水の波紋のように波打ち、初めは小さな波紋かもしれませんが、行政や各種団体、地域住民が加わることで波紋同士が重なり、より大きな運動へと展開していくことができます。また、未来を見据え石を投げ続けることで、多くの人の心に想いが伝播し意識の変革を生むことができます。これまでJCI八女が行ってきた運動の波に加えて、私たちが過去と未来、人と人、行政や各種団体が強く結ばれた運動の波を起こし、未来の明るい豊かな八女地域を創ります。

 

過去と未来を結び、人と想いを結び、共に未来を創りましょう。